相続対策として最近よく耳にするようになった「家族信託(民事信託)」
新しい相続対策として、
相続の専門家である司法書士や税理士、
銀行等の金融機関や保険会社、
不動産会社向けのセミナーが全国各地で行われるようになり、
「家族信託(民事信託)」への関心が高まってきています。
一方、一般の方々への認知度はまだまだ低く、実際に「家族信託(民事信託)」を手掛けている相続の専門家もまだまだ少ないのが現状ですが、従来の相続対策ではできなかったようなことでも「家族信託(民事信託)」を利用すればできるようになります。
そんな「家族信託(民事信託)」について、簡単にご紹介させていただきます。
家族信託を一言でいうなら、
「信頼する家族に財産を託して管理承継する方法」ということができます。
近年、認知症などにより判断能力が低下した時の財産の管理や遺言の代用
(二次相続以降の承継者の指定)として利用されるケースが増えてきています。
「家族信託」は家族のための財産管理を家族自身の手で行うという点で、家族以外の第三者である信託銀行に報酬を払って財産管理をしてもらう商事信託とは大きな違いがあります。
家族信託は、信頼できる家族に財産の管理承継を託すことで、家族の願いを叶えていく手法であるともいえるでしょう。
いま、家族信託が注目されている大きな要因の1つは、
従来の相続対策ではできなかったことが、実現できるようになったことにあるといえるでしょう。
従来の相続対策では不可能でしたが、家族信託を利用することで可能になったもの代表例として、次の2つが挙げられます。
1.認知症対策としての「家族信託」
今までの財産管理では、判断能力が衰えた後においても財産を柔軟に活用することが難しかったが、「家族信託」を利用することで財産の柔軟な活用が可能になった。
2.二次相続以降の承継者指定のための「家族信託」
今までの資産承継では、二次相続以降の承継者を指定することができなかったが、「家族信託」を利用することで二次相続以降の承継者を指定することが可能になった。
従来、認知症により判断能力を喪失してしまうと、
本人の財産を管理するには成年後見制度を利用するしかありませんでしたが、
成年後見制度を利用すると、資産を組み替える等して本人の財産を柔軟に活用することができませんでした。
ところが、家族信託を利用すれば、家族信託の目的に応じて、本人の財産を柔軟に活用することができます。
この他にも、自分が経営する会社の株式の承継や不動産の共有問題を解決したり、障がいを持つ子のためにも利用したりすることができます。
このように、家族信託を利用すれば、今までできなかったようなことができるようになるのです。
(一般社団法人家族信託普及協会提供)
家族信託を利用するには、財産を持っていて託す人(委託者)と財産を託され管理処分する人(受託者)の間で信託契約を締結しなければなりません。
したがって、いくら認知症対策になると言っても、実際に認知症になる前、判断能力を喪失する前の段階で信託契約を締結する必要があります。