遺産相続

遺産相続をするときには、トラブルが起こりがちなので、事前に準備をしておく必要があります。また、相続の対象財産や、相続の手続きの流れを知っておかないと、スムーズに相続することができません

遺産相続

日本では、私有財産が認められていますが、所有者が亡くなったらその財産を所有する人がいなくなってしまうので、誰かがそれを受け継ぐ必要があります。所有者が死亡した財産をすべて国有化することができないことは、明らかですし、死亡した人が借金をしていることもあります。そうした場合、債権者が誰にも請求ができなくなるのも不合理です。

 

そこで、これらの相続財産を次の世代に受け継がせることにより、私有財産性を維持し、取引の安全をはかることができます。

 

相続がうまくいかないと、大きなトラブルが起こる

相続をするときには、誰がどの遺産を相続するかが必ずしも明らかでないので、それを決めるために、相続人同士で争いが発生してしまうためです。

 

最近、日本では高齢化社会が進んだことや、資産を持ったシニア世代が増えたことなどにより、相続への関心が高まっています。効果的に相続トラブルを避ける方法や、相続税を節税する(発生させない)方法について知りたいと考えている人も多いでしょう。

 

当事務所では、遺産分割の協議内容から相続登記に至る一連の手続きについて、全面的にサポートさせて頂いておりますので、相続人間で遺産分割の話し合いがつかないようなケース等についてもお気軽にご相談下さい。



相続財産とは

プラスの資産

相続財産になるものとしては、プラスの資産が代表的です。これは、現金や預貯金、不動産や投資信託、株、貴金属や骨董品、ゴルフ会員権などの資産です。遺産の中でも最もわかりやすいでしょう。

 

相続財産の評価時期は?

プラスの資産で問題になるのは、評価方法です。現金や預貯金などの場合には評価方法が問題になることは少ないですが、不動産や株などの価格が変化するものについては、いつの時点で評価を行うかが問題になります。

 

相続財産の評価時は、遺産分割と相続税の場合とで異なります。遺産分割をする場合には、遺産分割時の評価となりますが、相続税の計算の場合には、相続発生時が基準となります。

 

不動産の評価方法も問題になる

また、不動産の場合には、そもそもどのような評価方法を使うべきかも問題となります。不動産の評価方法には、路線価と固定資産評価額、実勢価格と公示地価の4種類があるからです。これらについても、遺産分割の場面と相続税支払いの場面で、取扱が異なります。遺産分割の場面では、一般的に実勢価格を利用しますが、相続税の計算の際には相続税路線価という評価方法を使います。

 

このように、ひと言で「プラスの資産」とは言っても、実際に相続するときにはいろいろな問題があります。

 

マイナスの負債

相続財産となるのは、プラスの資産とは限りません。借金などのマイナスの負債も相続の対象になってしまいます。このことは、一般にはあまり意識されていないことがあるため、注意が必要です。

 

たとえば、生前に接触のなかった兄弟が亡くなった場合で、その兄弟がサラ金から借金をしていたら、ある日突然サラ金から督促が来ることもあります。死亡者に子供も親もいなければ、兄弟姉妹が相続人になってしまうためです。こうした場合、「相続放棄」という手続きをしないと、自分がサラ金に支払をしなければならないので、大変な目に遭います。

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また、相続の対象になる負債は、借金だけではありません。未払の家賃や買掛金などの他の種類の負債がある場合にも、相続の対象になります。父親が事業を営んでいて多額の負債がある場合などには、相続の際に特に注意が必要です。

 

抽象的な権利義務も相続されます。

たとえば、亡くなった人がアパートを借りて住んでいたら、大家との間で賃貸借契約をしていますが、その賃借人の地位は、相続人に相続されますので、賃貸借契約を解約しないかぎり、相続人は大家に家賃を支払わなければなりません。解約の際、原状回復が必要であれば、その分の費用も支払う必要がありますし、亡くなった人の荷物を片付ける必要もあります。

 

 

また、被相続人が誰かの借金を保証していた場合には、保証人の地位も相続の対象になるため、借金した本人が支払をしないときには相続人が支払をしなければならないのです。自分は保証した覚えがないのに、見も知らない他人の借金を返済しなければならない可能性もあり、大変な不利益が及びます。



遺産分割とは

「遺産分割」という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのようなことなのかがイメージできないかもしれないので、まずは簡単に確認しましょう。

 

遺産分割とは、相続人が相続財産を分配することです。

人が亡くなったら、その人の財産や負債が残されます。日本では、個人が財産を所有することが認められているので、亡くなった人の財産は相続人に引き継がれます。ただ、相続人は複数いることも多く、誰がどの遺産をもらうのかを決めなければなりません。そのための手続きが、遺産分割です。

 

遺産分割というと「話合い」のイメージもありますが、そうとは限りません

当事者同士で話合いができない場合には、家庭裁判所で「調停」や「審判」などの手続きが必要になることもあります。特に、遺産相続トラブルが起こってしまったら、裁判所の助けが必要になることが多いです。遺産分割は、トラブルになると大変な負担がかかるため、なるべく早期に、話合いによってスムーズに解決してしまうべきです。

 

遺産分割が必要になる場合とは?

それでは、相続が起こったら、必ず遺産分割しないといけないのでしょうか?

 

遺言があると、遺産分割は不要

実は、そうとも限りません。人が亡くなったとき、死亡者が「遺言」をしていることがあります。遺言があると、その内容が優先されてそのとおりに相続が行われるので、遺言によってすべての遺産の処分方法が定められていたら、遺産分割の手続きが不要になります。

 

たとえば、父親が死亡したとき、父親が「すべての遺産を妻に相続させる」という遺言をしていたら、妻と子どもたちは遺産分割協議をする必要はありません。

 

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相続人が1人でも遺産分割は不要

相続人が1人の場合にも、遺産分割は不要です。その場合、その1人の相続人がすべての遺産を相続するからです。

 

相続人がいない場合にも遺産分割は不要

相続人がいない場合にも遺産分割は不要です。相続人がいても、全員が相続放棄した場合も同様です。これらの場合、相続財産管理人という人を選任して、相続財産の清算を進める必要があります。

 

遺産分割が必要なケースは、上記以外のケースです。たとえば、兄弟姉妹や妻と子どもなどが相続をする場合、話合いなどによって遺産分割を進めなければなりません。



遺産分割協議書

誰が誰の相続人となり、各相続人の“相続割合”はどの位なのか、

 

といったことは、民法によって細かく規定されています。

これを“法定相続分”といい、ご家族様がお亡くなりになったという事実によって、

当然に法定相続分による相続は開始します。

 

お亡くなりになった方が特に遺言等を遺されていなければ、

相続人全員の話し合いによって、法定相続分とは異なる割合で

相続をすることが可能です。

この話し合いを“遺産分割協議”といい、これを後々まで明らかにするために

文書に記したものを“遺産分割協議書”といいます。

 

例えば、相続人の中のお一人が単独で不動産を相続するという

取り決めがあった場合には、その内容に対応した遺産分割協議書を作成し、

登記申請の際に添付しなければなりません。

 

 

遺産分割を行うときには、ほんの少しの遺産しかない場合でもトラブルが起こりやすいです。

血を分けた兄弟同士であっても相続問題がきっかけで熾烈な争いになり、絶縁状態になってしまうことも多いので、注意が必要です。

かといって、遺産分割をしないで放置しておくと、相続手続きができずに財産が放置されて、さまざまな問題が起こる可能性があります。

 

遺産相続は、スムーズに円満に進めることができたら、さほどおそれる必要がないものです。これから遺産分割をしようという場合、まずは一度、相続問題に力を入れている当事務所の無料相談をご利用下さい。