私たちは契約を前提とする社会に生きています。
スーパーで魚や肉を買う場合、契約書に実印を押したりしませんが、これも契約です。契約をするには、自分の行為の結果がどのようになるか判断できる能力が必要となります。
判断能力が不十分な場合、そのことによって不利益を被ってしまうおそれがあります。そうならないように支援するための制度が成年後見制度です。
成年後見とは、アルツハイマー病など本人がどうするべきなのか、どうした方がいいのかを判断する能力が不十分な状態の人に代わって、第三者を代理人とたてることで、判断能力のない人を守る制度のことをいいます。
成年後見を行っていることで、痴呆や認知症の人たちでも悪徳業者に高額な商品を無理やり買わされることを防ぐことができるのです
また、訪問販売が自宅に来て、悪質な商品を購入させられてしまった場合でも、成年後見制度を利用していることで、購入自体を無効化して、お金を取り戻すことも可能です。
介護保険制度というものも高齢者を助ける制度として存在していますが、介護保険は手足が不自由になってしまったといった身体の部分をサポートする制度となり、一方、成年後見制度は判断能力の不十分を支援する制度になります。
成年後見制度には法定後見(後見・保佐・補助)、任意後見が存在します。人それぞれ事情が異なるようにその人それぞれにあった後見を考えなくてはいけません。法定後見では家庭裁判所への申立が必要ですし、任意後見の場合は公証役場での公正証書の作成が必要です。
任意後見制度
「任意後見人制度」とは、将来、認知症などになったときに備え、自分に代わって自身の決めたライフプランを実行してくれる人を決めることをいいます。会社や複数の人を後見人とすることができます。
自分の将来の生活を委ねるため、十分に信頼できる会社や人を選ぶことが大切です。
もし周囲に候補者が見当たらないときは、当事務所にご相談ください。
法定後見制度
「法定後見人制度」とは、認知症などで判断能力が失われたり不十分になったりした場合に頼りになる制度です。
自身の後見人として「財産管理」と「身上看護」を行ってもらう人を家庭裁判所で決め、本人を支援します。本人の判断能力の程度によって、3つの類型に分けられます。
法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、補助、保佐、後見の3つの制度があります。
(1)法定後見人制度の利用の検討
(2)司法書士との面談(司法書士に依頼する場合)
(3)申立書の作成
(4)家庭裁判所への申立
(5)家庭裁判所の調査官による事実調査
(6)精神鑑定
※「後見」「保佐」を利用する場合、本人が医師などによる精神鑑定を受けます。
(7)法定後見人制度の開始
(8)法定後見人制度(成年後見登記)証明書発行
(9)家庭裁判所への報告
※支援する人(法定後見人)が成年後見制度(法定後見)を開始した時点での本人の財産目録と収支状況を家庭裁判所へ報告します。
(10)家庭裁判所による報酬付与の審判
※支援する人(法定後見人)が報酬を受ける場合に行われます。
(11)本人の死亡
※支援する人(後見人、保佐人、補助人)が、家庭裁判所へ後見業務終了の報告書と財産目録を提出します。
・支援する人(後見人、保佐人、補助人)が本人の相続人に財産の引渡しを行い、すべての後見業務は終了します。
最初の仕事
日常の仕事
特別の仕事
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